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できるだけ安く株式会社!設立までの諸手続き

このエントリーは、「会社を設立しよう」と決めて実際に設立に至るまでの話です。主に諸経費やら手続きの話になります。

近いうちに、もしくは将来、独立起業を考えるゲーム開発者や映像制作者の方に参考になれば良いなと思っております。

とくにフリーランスになって5年以内の人は優遇を受けられる可能性があるので要チェックですよ!

会社の住所が必要だ!

株式会社を作るには、結構ちゃんとした届出が必要になります。結構ちゃんとした届出なので後から変更するのも面倒です。いきなりお金の話をしてしまうと、例えば中野区に会社の住所があったとして、今度、渋谷区に引っ越すとなると、変更に伴う手数料が6万円かかってしまいます!たかが手数料(印紙代)にですよ!

結構ちゃんとした届出 → 法務局に提出する株式会社設立登記の申請

さて、住所はどうしようか・・と考えまして、私の場合、2年間ほどフリーランスをやっておりまして、最後の半年ほどは、打ち合わせ以外自宅で作業していました。とりあえず自宅を会社の住所として申請してしまおうかと思ったのですが、会社の住所というのは公になるものですから、住居用の賃貸だと大家さんに迷惑をかけてしまう可能性があります。後述しますが、住居兼事務所用の物件というのもあって、それは敷金礼金の設定が高めだったりします。なので、大家さんの立場で考えると良い気分はしないなと。(もちろん、大家さんの許可がもらえればOKです)

実をいうと、一緒に仕事ができる仲間を増やしたいというが法人化(会社設立)の目的のひとつでもあり、遅かれ早かれ事務所を準備しないといけなかったので、それなら最初にやってしまおうと考えました。

事務所を準備するにあたって、不動産屋さんに相談して中野区内の事務所をピックアップしてもらいました。 数年以内を目処に増えるであろう人数を考えると30平米もいらないかなと思っていたので、 そのくらいの物件を探してもらったところ、家賃10万円を切りつつも、良さそうな物件が出てきました。どれも住居兼事務所としても利用可能なマンションの一室でした。 ビルのフロアの場合ですと、これは住所兼事務所ではなく、事務所の扱いです。家賃10万円を切る物件は無かったと思います。

賃貸事務所の初期費用は一般的に家賃の7~10ヶ月分らしいです。私が検討していた物件だと、初期費用は70万円くらいと言われました。 テーブルやイス等の備品も揃えなくてはいけないので、家賃以外に必要なお金を含めると金額はさらに高くなります。

正直なところ、もう少し初期費用を抑えたかったため、レンタルオフィスを選択することにしました。 レンタルオフィスとはいえ、各個室にセコムがついていたりします。部屋の広さに対しては割高な料金設定だと感じますが、家具の購入やインターネットの契約なども必要ないですし、固定電話番号、会議室、フリードリンク、立地、24時間出入り可能、固定IPアドレス(オプション)などメリットが大きかったです。受付に人がいるので、不在時でも郵便物を受け取ってもらえますし、来客があった際に対応してもらうことができます。 ネット環境のセキュリティが気になる場合は、入居者が直接プロバイダーと契約をして独自に回線を引き込むことを許可しているレンタルオフィスもあります。

私が契約した部屋の場合、初期費用30万円、家賃12万円(オプション等含む)くらいです。初期費用としてはかなり抑えられた結果です。

また、あとで知ったことですが、中野区だとICTCOという区が運営しているレンタルオフィスもあります。 見学に行ったところ、登記できるプランは順番待ち状態とのことで、とても盛況のようです。

http://ictco.jp

もうひとつ、こちらも後日知った場所ですが、東京コンテンツインキュベーションセンターというのも中野にあります。ここはすごく良さそうです。もっと早く知っていれば・・。

www.tcic.jp

株式会社設立がすごく面倒そうなので「会社設立freee」というサービスを利用

フリーランスのときもこの「freee」というのを使って日々の会計処理、見積・請求書発行、確定申告書類作成などをしていましたので、同じ会社のサービスということもあって利用してみることにしました。

会社設立freeeですが、ほぼオンラインでできますが、定款の受け取り(公証役場)と登記(法務局)の2つは足を運ぶ必要があります。あと、事前に定款を公証役場の公証人に確認してもらったり(FAXか持込)、定款の電子化と電子申請を司法書士に頼む必要があります(5,000円)。 また、電子公告を有料でやってくれるプランや、印鑑の作成を依頼することもできます。

完全に無料でとはいきませんが、いい経験?になったと思います。(意味深)

株式会社の登記にかかる登録免許税15万円が半額になる!

ちまたでは「資本金1円でも会社が作れる」と言われていますが、実際のところ登録免許税や各印紙代が発生するため、 株式会社を設立するには最低でも20万円から24万円くらいかかると言われています。(資本金を含めず)

ですが今(2017年3月現在)、「特定創業支援を受けた創業者への支援(優遇措置)」というのがありまして、これを利用すると、 最低でも15万円かかる登録免許税が7万5千円で済んでしまう優遇措置が受けられます! 私も実際にこれを利用し、もろもろの手数料含め13万円台で株式会社を設立することができました。(資本金を含めず)

この特定創業支援は各市区町村で受けられます。 設立を考えている方は、設立予定の市区町村のホームページで「特定創業支援」というワードをチェックしてみてください。

特定創業支援はいろいろあるのですが、セミナーや相談会などが多いです。区が企画している相談会、銀行が企画している相談会など市区町村によって違います。 私の場合は、区がやっている「創業・経営相談」を4回受けました。ちなみに相談に1回行っただけでは優遇は受けれません。4回という条件があるのです。

◆相談後から優遇措置を受けるまでの流れ

私「創業・経営相談を4回受けました!」

中野区「ふむふむ。認定特定創業支援を受けたという証明書を発行します」

法務局「証明書があるので登録免許税を減税する優遇措置を適用しますね」

このような具合です。

優遇を受けるためには、創業から5年以内であること。という条件もありますので注意が必要です。 創業とは、フリーランスなどの個人事業主も含まれます。なので、フリーランスになってから5年以内の方はチャンスです。

いざ、法務局へ

必要な書類はそのつどfreeeからPDFでダウンロードできます。必要事項はほとんど入力済みなので、やることはホッチキスで綴じて印鑑を押すくらいです。 しかし注意点があります。freeeでは特定創業支援の件が考慮されていません。なので一部の書類を書き換える必要があります。といっても簡単です。登録免許税の金額が書いてある部分(15万円)に斜線を引いて修正印を押し、7万5千円と書き換えるだけです。

完璧な書類もでき、ドヤ顔で法務局へ持ち込んだところ、窓口で修正箇所の指摘が・・・

私が修正を指示された部分

  • 資本金の振込み日(通帳に記載された入金日)よりも、書類に書かれている日付の方が古い(2箇所)
  • 各書類に捨印がない(念のため捨印はあったほうがいいよとアドバイスをもらいました)
  • 収入印紙が貼ってある書類のホッチキスで綴じた部分に割印がない

印鑑を持ってきていたのでその場で対応して提出。指定の日時までに連絡がこなければ登記完了です。

いざ、法務局へ②

指定された日までにとくに連絡もなかったので、登記完了だと思います。 この後、銀行の法人口座開設や、co.jpドメインの「本登録」を検討していたので、必要になる書類を手に入れるため再度法務局へ足を運ぶことにしました。

以下は東京法務局中野出張所の例なので、他の場所では少し違うかもしれませんのでご注意ください。

まず、freeeからダウンロードし印刷した「印鑑カード交付申請書」を法人登記の窓口に持って行きます。これには手数料はかかりません。5分くらいで印鑑カードを手に入れることができました。(待ってる人が誰もいなかったので、空いていたタイミングだったのかもしれません)

今まで何かと手数料としてお金を取られていたので、タダで印鑑カードが手に入って拍子抜けしました。実はこの印鑑カード、印鑑証明書を発行してもらうために使うもので、印鑑証明書の発行にはお金がかかります。結局お金がかかるのです。しかもマイナンバーカードと異なり、コンビニで印鑑証明書を発行することができません。法務局でしか使えない役立たずの磁気カードです。

注意 freeeでPDFの書類をダウンロードすると、ダウンロードした日付が申請日として書類に記載されます。

つぎに、「印鑑証明書交付申請書」、「登記事項証明書交付申請書」ですが、結論から言うとfreeeから印刷した紙は不要でした。建物内に証明書発行請求機という端末がありまして、「証明書発行請求機を使うと早いですよ!ぜひ使ってください!」というポップがいたるところに貼ってあり、そこまでアピールされたら使わないわけにはいかず、freeeでダウンロードした書類はあるけど、ためしに使ってみようかなと思い使ってみました。

先ほど手に入れた印鑑カードを挿入してポチポチっとやると、請求できてしまいます。会社名とかわざわざ入力しなくて良いので印鑑カードに会社の情報とか記録されてるのかもしれません(?)。 複数の証明書を一度に申請できるので、今回欲しかった「印鑑証明書」と「登記事項証明書」をまとめて申請しました。

端末への入力後ですが、受付番号と手数料の金額が書かれた紙が出てくるので、それを持って収入印紙の購入窓口へ行き、お金を払います。

受け取った収入印紙を持ったままイスに座って待機。

名前が呼ばれたらで窓口へ行き、収入印紙をその場で貼り、書類を受け取って終了です。

いやはや、スムーズでした。とにかく、スムーズでした。磁気カードは役立たずではなかったです。

その後・・・

ひとまず、設立は以上ですが、このあとまだまだやることがいっぱいなのです・・・。

正直なところ、多少お金を払ってでも代行等に頼んだ方が良いと思いました。

設立後の手続きも相当面倒です。設立後についてはまた別のエントリーにて!